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水晶振動子を鳴らしてみる [鉱物]

2015年5月から3ヶ月近く挑戦してきたことがなんとか成功したので、紹介です。
何やったかって?

水晶振動子の音を聞こうとしたのです。

水晶振動子って、水晶の圧電効果を利用した電子部品で、特定の周波数を発振するのが特徴。有名な利用用途がクォーツ時計です。
圧電効果って、ある素材を叩いたり、押すなどの物理的圧力がかかると、素材から電気が発生すること。逆に、素材に電気を流すと、素材が伸びたり、曲がったり物理運動を行う。水晶が素材の場合、電気を通すと曲がったり、伸縮するなどを繰り返す。

で、水晶振動子はいろんな固有の周波数がある。その中で、人間の耳に聞こえる周波数を持つ水晶振動子が存在する。ただし、今はそのような低い周波数の水晶振動子は作られていない。
そんなアンティークをわざわざ手に入れて、発振させて音を確かめる訳だ。

今回手に入った水晶振動子は、2kHz、5kHz、12kHzの3本。
5kHzの写真はこれ。Western Electric社(Made in U S A) 型式 707A  5.37109 KC(kHz)  No.108
hp_192_IMG_2134.jpghp_192_IMG_2135.jpghp_192_IMG_2137.jpghp_192_IMG_2136.jpg
中央にある白い板が水晶の板です。
真上から見ると、雲母の板も支えの部品の1つになっています。

この水晶の板は2枚貼り合わせてあります。つまり、Xカットのはり合わせ屈曲運動型の水晶振動子と思われます。Xカットというのは、水晶の板を切り出す際の特定の切り出し方をいいます。水晶の切り出す方向・角度によって、周波数が変化するのです。可聴域の数kHzの場合は、たいていXカットはり合わせタイプなのです。

次に、水晶を振動させる、発振回路を組みます。有名どころはコルピッツ回路なのですが・・・
数kHzの水晶振動子の発振回路の具体例が全然検索でてこない・・・
なにしろ、1960年代にはこの周波数の水晶振動子は廃れていったそうな。

なんとか発見した回路が、
こちら。
http://oaktree-lab.com/resources/files/huge-xtal-osc.pdf
超巨大水晶発振器を作成した「楢ノ木技研」http://oaktree-lab.com/resources/が回路を公開しています。

また、上記の回路を参考に作られたこの動画も参考にしました。https://youtu.be/SuDpfrU5FBo?list=PLu7E7h62nqWboIrI4F_z6ykbL_QKBM3pq


これだけ分かっているなら、余裕のハズ・・・
が、ブレッドボードで回路を組んで見るものの、水晶振動子からは一切音が出ない。

なぜ??
周波数カウンターなんて持っていない。
電子工作なんて、キットをはんだづけした程度の私には、発振回路は荷が重かったのか?

諦めること1ヶ月。
まてよ、そもそも水晶振動子って、真空管じゃん。音なんて、外に伝わる訳ないじゃん。(*後日、すごく小さいが、水晶振動子から音が出ていることを発見した。といっても、キャパシタの容量を色々変えて遊んでいた時に偶然、10kHzの音が水晶振動子から出ていることに気づいた。とても小さい音で、まず、気づかない。真空管なのに真空じゃない(笑)。耳にあてるぐらい近づいても聞き取れない場合もあるので、スピーカーをつけた方が良い。回路が正しければ、水晶なしでも雑音っぽい発振が聞ける。)

なんと、根本が間違っていた。
じゃあ、スピーカーを付けるしかないね。

で、圧電スピーカーをつなげてみたところ・・・
やった!鳴るじゃん!

で、動画にしてみた。


なぜか、2kHzのGECの水晶振動子が、2kHzのほかの4KHz,12kHzの音が出てしまっている。
(*後日、水晶振動子から音が出ることを発見したので、iPhoneの音の周波数を調べるappで、iPhoneを水晶振動子にくっつけたところ、1936.4Hzくらいでほぼ1933.33Hzに近かった。非常に弱いが、12kHzも発生していた。ICチップの相性か、2枚はり合わせ型水晶振動子の性質なのかわからない。)
この現象は水晶振動子の固有の周波数が整数倍になる、オーバートーンという現象。
回路と振動子が合っていないとオーバートーンになる。
この性質を使用して、超高周波を水晶振動子から作ることも可能。

今回の回路図はこんな感じ。
hp_192_IMG_2187.jpg

玄人の眼からみれば、きっといろいろ抜けているであろう回路図であるが、とりあえずこれで鳴ったので良しとしよう。
hp_192_IMG_2188.jpg
さっきと同じだが、こちらの図の方が見易い。
水晶振動子は英語で、Crystal unitや、Crystal oscillator、Crystal frequency unitという。回路図では、「X-tal」と表記される。
ICチップは東芝のTC4011BPを使用。
ICを使った発振回路として割と知られている回路らしい。

発振をスピーカーで鳴らしてしまえば、iPhoneなどで、音の周波数と強度を調べるアプリがあるので、これで周波数を調べられる。
できれば、周波数カウンターが用意した方が良いだろう。

hp_192_IMG_2182.jpg
これが人生初のブレッドボード。半田付けしないから仮組みに最適。

「鉱物レシピ」という本に水晶振動子の音を聞くページが載っているが、なんと、回路図が載っていない。水晶振動子が鳴らず、回路見直しに苦心していた時にこの本が出て、回路図が載っていないことに落胆したのは言うまでもない。
なので、代わりに私が詳しく紹介しました。
みなさんも、もし、水晶振動子が手に入ったら、作ってみてください。


タグ:水晶振動子
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