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水晶玉のキラリティー(旋光性)観察 [エアリースパイラル]

水晶玉とガラス玉を見分けるにはどうしたら良いだろう。
比重(同体積での重さは物質によって異なる)を計算する、比熱の(熱の伝わり易さの)違いを指先で感じ取る、などいろいろある。
今回は、水晶の持つ旋光性(せんこうせい)を利用して、ガラス玉とを見分けてみた。
旋光性とは、比喩を用いて簡単に言えば、光をボールを回すように回転させることだ。この回転させると言っても、360°の内、X°回転するという意味である。
何度回転させるかは、物質によって異なっており、さらに物質の厚さによっても異なる。そもそも回転させる物質そのものがかなり限られている。どんな物質が旋光性を持つかと言うと、とても専門的なのだが、キラルな分子を持つ物質が旋光性を持つのだ。この辺を説明すると、長過ぎるので省きます。

大事なのは、水晶が旋光性を持つ物質で、ガラスは旋光性を持っていないということである。
さらに、水晶の結晶はキラルな分子を持つため、結晶の立体構造が右手左手の関係のような2種類の構造が存在する。水晶は2種類の旋光方向が存在する。しかも、右水晶、左水晶それぞれの旋光性については、既に論文で判明している。

前置きが長くなりましたが、水晶の旋光性を調べるには、道具が必要です。

偏光板2枚、1/4波長板1枚。

偏光板は、安く売っていますが、1/4波長板はやや高いです。いずれもamazonで購入できます。便利な時代ですね。
私も、念のために購入しました。
念のため・・・というのも、これらは身近な製品に使われていたりします。

まず、偏光板・・・PC液晶モニターに使われています。(iMac 27inch 2012)
次に、1/4波長板+偏光板(2枚目)・・・3D映画用メガネ(300円or400円で購入。電池の要らないやつ)(www.reald.com)



ちなみに、こんなセットも売っています。

かんたん水晶鑑定セット

かんたん水晶鑑定セット







あとは、ガラス玉と水晶玉を観察。

観察方法・・・
①PCを起動
②PC液晶モニターの画面を可能な限り真っ白に。例えば、テキストエディッタなどの白紙の画面を大きくするなど
③3Dメガネを装着。片目を閉じる。
④PCと3Dメガネの間に水晶玉もしくはガラス玉をかざす。
⑤玉を回してみて、水晶にしか見られない虹の渦(エアリースパイラル)を探す。

これだけ!

では、人間の目の代わりにカメラをセットした結果を見てみましょう。

まずは。3Dメガネをしない状態では。
th_P5251287.jpg

うん、大きい玉と小さい玉があるだけでどれがガラスか水晶かなんて分かりません。

では、3Dメガネ装着!

th_P5251288.jpg

むむ、小さい画面だと分かりづらいけど、大きい玉と小さい玉では様子が違うぞ。
拡大してみよう。

kakudai.jpg

左がガラス。右が水晶。水晶にはみごとな虹の渦が観察できる。
さらに右の水晶は渦の中心から外に向かって、左回り(反時計回り)。対して、左下の水晶は逆の右回りである。
左回りは左水晶、右回りは右水晶であることがわかっている。水晶玉が元々右水晶か、左水晶かを見分けることが出来るのである。

おまけ①

今回の撮影の為に水晶玉を1.2 cmを9個用意した。
これらの水晶の右左を調べたところ、右水晶:左水晶=6:3であった。
自然界では、右水晶と左水晶の割合は五分五分で等しい。
今回は9個と少なかったので、数にかたよりが生まれたようだ。1000個くらい調べれば五分五分であることが分かるだろう。

おまけ②

せっかく、amazonで、偏光板を買ったので遊んでみた。
水晶とガラス玉を見分けるのは別に1/4波長板は必要ではありません。偏光板2枚あれば十分です。
では、偏光板2枚での結果は・・・

th_P5251292.jpg

十字がいっぱい!
この黒い十字はアイソジャイヤーと呼ばれています。
水晶は、アイソジャイヤーの真ん中にピンクと緑のリングが観察されました。渦ではありません。
このピンクと緑のリングは専門用語で等色線と呼ばれ、結晶の種類によって異なる色が出るそうです。
よく見ると、ガラス玉の一つにアイソジャイヤーが乱れているものが・・・どうやら、玉の形が崩れているのか、内部に何か不純物が入っていて、均一ではないことが原因見たいです。

・・・写真的には、このおまけ②が一番きれいに見えるのは私だけでしょうか?

参考文献

右水晶と左水晶の区別, Hiyoshi Review of Natural Science, Keio University No. 46, 13-41 (2009)

 

 

 

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